この記事ではILM (Industrial Light and Magic) のAnimation SupervisorであるJean-Denis Haas氏が公開した”How to take your animation TO THE NEXT LEVEL – part 1″という動画を紹介する。
ジャンプなどのアニメーションの練習を、ただの練習というよりも映画やTVショーのショットのようにキャラクター性や目的があったりショットの背景、流れがわかるような物にする方法を紹介している。
Jean-Denis Haas氏はAcademy of Art University(以下AAU)を卒業後15年に渡ってILMで働いていており、現在はAAUでインストラクターもしている。
オンラインでアニメーションの添削をする“Spungella Online Animation Workshop”も運営中。
Part1ではA地点からB地点へとジャンプする10秒間のショットをどのように良くしていくか、4つのステップに分けて解説している。
大まかな内容を下記にまとめた。
■ステップ1 – 何をジャンプするのか。川?大きな穴?岩?何でもできる。キャラクターとシチュエーションを作る。
■ステップ2 – 10秒間ずっと同じカメラアングルではなく、カメラアングルを変えてショットを4つに分ける
よりチャレンジングになるが、その分より観ていて面白いものになる。
-ショット1:引きの画ではキャラクターの外観やフルボディのメカニクスを見せることができ、更にキャラがカメラに向かってくる所ではフェイシャルのアニメーションも見せれる
-ショット2:引きの画。実際のジャンプ。シルエットやボディメカニクスを見せれる
-ショット3:寄りの画。着地。足のスクウォッシュや地面の欠片が落ちたりなど、面白いディテールを足すことができる。更に着地の複雑さも見せれる
-ショット4:手前から奥にキャラが移動。最後にターンの複雑な動きを見せることができる
ステップ1と2では同じアニメーションだが、この時点で既にこれらのショットの見た目がより面白くなっている。
■ステップ3 – 更にディテールを加える。ジャンプに理由を与える。
・キャラクター逃げている理由をわかるようにする。何から逃げているのか?
→4足動物から逃げているのを見せれば、動物のアニメーションができるというスキルセットを見せることもできる
・背景のオブジェクトに色を加えたりしてより状況を分かり易くする
・アクションをサポートするカメラの動きつける。観ている人をdistract, 邪魔するようなものは避ける
■ステップ4 – ディテールを足す。更にアイディアを足すこともできる。
-ショット1: 手前にさらに別のものを置く。別のクリーチャーアニメーションを見せることができる
-ショット2,3: ステージ2と同じ
-ショット4: 更に別のクリーチャーを使い、ショットの最後にサプライズ的要素を加える。
これはやり過ぎかもしれないが、どんな物でも足せる
(更にここでは観客の目線を意識してステージングしていることを解説している。これは連続したショットをアニメーションする際に常に考えなければいけないことなので重要だ。)
カメラに動きがあるとトリッキーになりアニメーションも難しくなるため、あまり滅茶苦茶なカメラの動きは避けたほうが良い。また観客も混乱してしまう。
カメラの動きやステージングは観客の視線誘導をサポートするもの。
以上のアプローチがJean-Denis氏がショットを進めていく方法。
キャラクターが何かをするというエクセサイズがあったとして、次にキャラクターに対してその行動の目的を与える必要がある。
Jean-Denis氏がよくするのは Conflict – 対立、争い を足すこと。詳細については別の機会とのことだ。
今回のケースではクリーチャーが追ってきているというキャラクターが逃げる理由があり、その後何かが起こり、最後にサプライズが起こるという流れ。
カメラアングルやカメラの動きは観ている人を邪魔してしまいがちなので注意を払わなければいけない。
1つのアングルだけでも良いが、いくつかのショットに分けカメラアングルを変えることで、1つの大きなアクションの中で違ったディテールを見せることができる。
例えば少し引きのカメラではフルボディのメカニクスやポーズのシルエット、クロースアップではフェイシャルアニメーションを見せれる。どういったことをやりたいか、見せたいかによる。
パート1の内容は以上。パート2では「座る」アニメーションについて。
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